【1月22日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中、ナチス・ドイツ(Nazi)に押収された友愛結社「フリーメイソン(Freemason)」の膨大な歴史的資料がポーランドの図書館に所蔵されている。学芸員は、まだ多くの謎が眠っているとの見方を示している。

 ポーランド西部のポズナニ(Poznan)にあるポズナニ大学図書館(Poznan University Library)には、17世紀から第2次大戦前までのフリーメイソンの資料約8万点が所蔵されている。女性版ロッジ(支部)に関する見解や、非公開の式典で使われた楽譜など、あまり知られていない歴史にも光を当てる資料群だ。

 だが、すべての資料を調べ尽くすにはまだ多くの作業が残っている。学芸員のイウリアナ・グラジンスカ(Iuliana Grazynska)氏は、「フリーメイソンのアーカイブとしては欧州最大級だ」と説明する。未分類の書類も大量にあり、作業に着手したばかりで、「まだ謎が残っている」と話した。

 ナチスは当初、フリーメイソンを容認していたが、自由主義的な知識人の秘密結社は反体制勢力の中心になり得ると見なし、1930年代には陰謀論の標的とするようになった。

 第2次大戦中はドイツ軍の進攻に伴い、国内外でフリーメイソンのロッジは解体され、会員は投獄、または殺害された。

 30年にわたってこの資料を管理してきたアンジェイ・カルポビィッチ(Andrzej Karpowicz)氏はAFPに、「ナチスはフリーメイソンを毛嫌いしていた」と語った。反知性的、反エリート的な傾向のあるナチスのイデオロギーは、本質的に「反フリーメイソン」だったと言う。

 ポズナニ大学の資料群は、ナチス親衛隊(SS)のトップだったハインリッヒ・ヒムラー(Heinrich Himmler)の命令によって押収されたもので、欧州の各ロッジの文書から成る。演説原稿の写しやドイツ内外のロッジの会員リストなども含まれ、ナチスの刻印が残っているものもある。

 また図書館では、英国に最初のロッジが設立されてから6年後の1723年に作成されたフリーメイソンの会則の初版など、貴重な資料が展示されており、研究者や来訪者に公開されている。ドイツのロッジの代表もまた、戦前の歴史を取り戻そうと同地を訪れている。(c)AFP/Stanislaw WASZAK