【1月7日 AFP】まるで生きているような子どもの人形が、身をよじりながら泣き声を上げる。少し驚いた見物客がスマートフォンでその様子を撮影する。

 米ネバダ州ラスベガス(Las Vegas)で今週開催された世界最大級の家電見本市「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(International Consumer Electronics ShowCES)」。そこに出展された人型ロボットの「クール」さと「不気味」さは紙一重だ。

Pedia_Roid(ペディアロイド)」は医療訓練用に開発された小児患者型ロボットだ。白目をむくなどの動作は、リアルさを追求している。

 いくつか先のブースでは、「アメカ(Ameca)」が人間と見間違うほどの身ぶりや手ぶりで、来場者と会話をしている。

 開発した英国のロボット開発企業エンジニアドアーツ(Engineered Arts)は、アメカを人間らしくするためのソフトウエアと技術を開発した。だが、同社のモーガン・ロー(Morgan Roe)氏によると、リアルさの実現には限界があるという。

■「ちょっと不気味」

 完璧まであと一歩のロボットは、生き物ではないことを露呈する。このような見ている人間に違和感や嫌悪感を与える現象は「不気味の谷」と呼ばれる。

「ロボットが完全には人間のように動作しない。完全には人間のように表現したり、感情を出したり、話したりしない。これが不気味の谷です」とロー氏は述べた。

 一方、「Pedia_Roid」のやや人を怖がらせるような動作は意図的なものだと、出展した日本のロボット開発企業テムザック(tmsuk)の研究員、石井佑典(Yusuke Ishii)氏は話す。

 同社のパンフレットは、治療を嫌がる子どものジタバタと暴れる動作をリアルに体感できると説明している。

 およそ110センチのロボットはうめいたり、話したり、両脚を揺さぶったりする他、けいれんや嘔吐(おうと)反射のシミュレーションも可能だ。

 スロベニアから参加しているアナ・クロア(Ana Kloar)氏は、ペディアロイドが子どもの治療訓練に役立つとした上で、こう言った。「(白目は)ちょっと不気味。でも人形はとてもクール」 (c)AFP/Joshua MELVIN