ルワンダのマウンテンゴリラ、生息数回復で空間の確保が問題に
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【1月9日 AFP】ルワンダのボルカン国立公園(Volcanoes National Park)では、野生動物の保護活動が実り、マウンテンゴリラの生息数が回復しつつある。だが、それを手放しで喜べないのは、マウンテンゴリラが成長し、繁栄するのに十分な空間が確保できていないからだ。
マウンテンゴリラは、ルワンダ、ウガンダ、コンゴ民主共和国にまたがるビルンガ(Virunga)山脈と、ウガンダのブウィンディ原生国立公園(Bwindi Impenetrable Forest National Park)にしか生息していない。
森林警備隊員のフェリシアン・ヌテジマナ(Felicien Ntezimana)氏は、ビルンガ山脈とブウィンディ公園で行った個体数調査について、「2010年に880頭だったマウンテンゴリラが、2015年には1063頭になった」とAFPに語った。
1980年代からの数十年に及ぶ密猟で、ビルンガ山脈全域のマウンテンゴリラはわずか250頭に減っていた。
だが、保護措置を強化するとともに地元村民の協力を得た結果、マウンテンゴリラをめぐる状況は好転した。
今日では、ボルカン国立公園でゴリラに会えるトレッキングツアー代金1500ドル(約17万円)の10%が地域の事業に使用され、5%が村民への補償基金に回されている。
公園があるムサンゼ(Musanze)村の高齢の住民は、過去には嫌われ恐れられていたマウンテンゴリラが、今や村の財政の将来にとって重要な鍵となっていると指摘する。
公式データによると、今日、約380頭のマウンテンゴリラが公園内に生息している。
観光客や研究者との接触で人間に慣れたマウンテンゴリラは、自らの生息地が手狭になるにつれ、村民の居住区にも恐れずに足を踏み入れるようになってきた。
個体数が増えたことで、マウンテンゴリラ同士で争いが起きる頻度も高くなった。犠牲になるのはしばしば幼いゴリラだ。
この問題に対処するため、ルワンダは今後10年で公園面積を23%広げる計画を立てている。今年から始まるこのプロジェクトでは、農家約4000世帯の立ち退きが予定されている。
当局は立ち退き世帯に対し、補償金の支払いとともに、新たに建設する「モデルビレッジ」への入居を促す予定だ。
大きな学校と養鶏場に加え、清潔で家具付きのれんが造りのアパートが用意され、政府は立ち退き家族にとって有益な移転になると主張する。
だが、あるジャガイモ農家はゴリラが「問題なのではない」と語る。問題なのは「転居先の土地が肥沃(ひよく)でないことだ」と不満を漏らした。 (c)AFP/Marion DOUET