【12月24日 AFP】天使や雪だるま、サンタクロース、星などをかたどった吹きガラスのビーズのクリスマス飾り。チェコ北部の村ポニクラー(Ponikla)にある小さな会社が作っている。

 国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)は昨年、この手作りの「吹きガラスとガラスビーズのクリスマスデコレーション」を無形文化遺産に登録した。

 現在、ポニクラーだけに伝わるこの伝統手工芸の起源は、19世紀のある恋物語にさかのぼる。

 ポニクラーに唯一残る「ラチウス(Rautis)」工房のオーナー、マレク・クルハビー(Marek Kulhavy)氏は、「ある男性が地元のメイドと恋に落ちて結婚し、この手工芸の基となる技術をポニクラーにもたらした」と話す。

 ポニクラーに近いこの男性の出身地では、当時すでにガラス工芸が盛んだった。山間部の貧しい地域だったポニクラーの人々は、生活のために素早く技術を習得し、この工芸はあっという間に広まった。

 現在、クリスマス飾りを生産しているラチウス工房は、1902年にスタニスラフ・ホルナ(Stanislav Horna)氏が創業した。衣服や民族衣装に付ける美しいふち飾りで大きな成功を収め、最盛期にはガラス吹き職人が200人ほどいたという。

「1920年代に観光客を装った日本の産業スパイ集団が技術を模倣し、ふち飾りの製造を始めた。これによって、アジアの市場が奪われた」とクルハビー氏はAFPに語った。

「倉庫はビーズ(の在庫)でいっぱいだった。当時ちょうどクリスマスツリーが流行していて、誰かがクリスマス飾りを作ろうと発案した」