【12月4日 AFP】柔道女子フランス代表で五輪金メダリストのマルゴー・ピノ(Margaux Pinot、27)が、私生活のパートナーで元コーチのアラン・シュミット(Alain Schmitt)氏からドメスティックバイオレンス(DV)を受けたと訴えた。疑惑に対して同氏は3日、相手が始めたけんかで正当防衛をしたにすぎないと主張した。

 東京五輪の混合団体で母国の優勝に貢献したピノによれば、先月27日夜に自宅のベッドで酒に酔ったシュミット氏から暴力を受けたという。2日に行われた記者会見では、あざだらけの顔で「彼は私にまたがり、顔の左右を殴り始めた」と話した。

 さらに「私はパンチを避けずに、『やめてアラン、やめて』と言って、彼を説得しようとした」と当時の状況を振り返り、「とにかく彼から逃げなければ、ここで死んでしまうと思った」と語った。

 シュミット氏は警察に逮捕されたものの、裁判所の審問でDV容疑を裏付ける証拠が不十分と判断され、1日午前に釈放された。3日に行われた仏ニュース専門局BFMTVのインタビューでは、右側に大きなあざができた顔で「正当防衛だったというのが自分の感覚だ」と語った。

「これまでの人生で、女性を殴ったことは一度もない。プライベートの生活では、自分は穏やかな人物だ」

 裁判所の決定には検察側が即時に不服を申し立てており、来年に迫った仏大統領選挙の候補者ら各方面から批判の声が上がっている。

 しかし、シュミット氏は先に暴力を振るったのはピノだとし、自身が女子代表コーチとして雇われたイスラエルに行くことについて、腹を立てていたと主張した。ピノはシュミット氏の言い分について「彼はうそをついている」と報道陣に反論している。

 また今回の疑惑を受け、イスラエル柔道連盟(IJF)はシュミット氏との契約を破棄した。

 ピノは五輪金メダルの他に欧州選手権(European Judo championships)で優勝2回、世界選手権(World Judo Championships)でも銅メダルに輝いた実績を持つ。(c)AFP