【11月26日 AFP】フランスとイタリアは26日、近年の緊張に区切りをつけ、協力関係を明文化する新たな条約を締結した。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は同日、イタリアの首都ローマを訪問。セルジョ・マッタレッラ(Sergio Mattarella)伊大統領のクイリナーレ宮殿(Quirinale、大統領府)で、マリオ・ドラギ(Mario Draghi)伊首相と共に署名式に臨んだ。

 この通称「クイリナーレ条約(Quirinale Treaty)」には、経済、産業、文化、教育、安全保障、外交など幅広い分野における両国の協力内容が盛り込まれている。

 ドラギ氏は記者会見で「欧州統合の前進に貢献し、加速させる」ことを目指す同条約の締結を「歴史的瞬間」と評した。

 またマクロン氏は「深い友情を確認する」条約であり、「欧州連合(EU)創立メンバーである両国は、より強く結束し、より民主的でより独立した欧州を支持する」と述べた。

 欧州は今、過渡期を迎えている。英国が離脱し、加盟国間の摩擦を抱えるEUは、東側の近隣諸国の動きにも神経をとがらせている。事実上の指導者だったドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、ついに引退の日を迎えようとしている。

 マクロン氏は、仏伊には「困難な時もあった」と認めた。これは2019年、当時のイタリアのポピュリスト政権がマクロン氏を公然と批判し、外交危機に発展した時期に言及したものとみられる。ドラギ政権の発足後に、両国関係は大きく改善した。

 北アフリカから毎年何万人もの移民が到着するイタリア国内には、問題の対応が自国のみに押し付けられているという、欧州の同盟諸国に対する不満もくすぶっている。

 ドラギ氏は、移民・難民政策ではEU内の協調が必要だとする考えで両国が一致したと述べた。(c)AFP