【11月24日 CGTN Japanese】中国では新型コロナウイルス感染症の発生以降、ワクチン開発と併行して治療薬の研究開発も進められてきました。北京大学生物医学フロンティアセンターの謝暁亮(Xie Xiaoliang)教授のチームはこれまでに、単細胞シークエンシング技術を利用した中和抗体の研究において重要な進展を収めました。開発された薬の人道的使用(未承認薬の緊急使用)が、すでに一部の病院で始まっています。 

 研究者は単細胞シークエンシング技術を利用し、回復期患者の血漿(けっしょう)から新型コロナウイルスに対する中和活性の良い抗体DXP604を選別しました。この抗体により、ウイルスによる攻撃を大幅に回避することができます。北京大学生物医学フロンティアセンターの曹雲竜(Cao Yunlong)副研究員は、「この抗体はウイルスと比べて人体の受容体との作用が100倍も強い。ウイルスが人体の受容体との結合の機会をほぼ完全に失うので、その人体への侵入を遮断する機能が期待できる」と説明しました。  

 研究チームは2020年2月から新型コロナウイルス治療薬の研究開発に取り組んできました。チームは60人余りの新型コロナウイルス感染症からの回復者から、1人について1回ずつのサンプル採取を行うことで、累計8000-10000個の新型コロナウイルス抗体配列を検出しました。チームはその後、スクリーニングを経て、抗体2種類を選択して詳しく研究しました。DVP604と名づけられた抗体については、現在までに大規模なテストを経て、その活性やスペクトル特性の広さ、抗ウイルス性がすべて良好であり、低コストのコロナ治療薬として臨床応用が可能であることが示されました。  

 北京市は感染症対策科学技術の難関突破活動メカニズムに基づき、専門家による緊急討論会を招集し、DXP604を、他に有効な治療法がない場合に限って北京地壇病院で使用することを認めました。現在までに、患者36人に緊急使用しましたが、使用後には患者の抗体レベルが明らかに上昇し、呼吸器症の改善、味覚と嗅覚の回復も確認されました。また、肺部の疾患の進行が明らかに遅延、あるいは改善しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News