【11月22日 AFP】フランス軍がエジプトに提供した諜報(ちょうほう)活動用の装備が、密輸容疑の「民間人の殺害」に用いられていたと、仏調査報道機関ディスクローズ(Disclose)が21日、流出文書を基に報じた。

 これを受けて仏下院では野党が議会調査委員会の設置を要求。フロランス・パルリ(Florence Parly)国防相は内部調査を指示した。

 ディスクローズのウェブサイトによると、フランスはエジプト西部のリビア国境沿いにおけるイスラム過激派の脅威に対し、エジプトに情報収集用の装備を提供することを目的とする、「シルリ(Sirli)」と銘打たれた共同作戦を実施している。作戦内容は、小型偵察機を用いて「西方砂漠(Western Desert)を監視し、リビアから流入する恐れのあるテロリストの脅威を発見すること」を基本としていたという。

 しかし、フランス側は「非常に早い段階で、エジプト側に提供された装備が密輸容疑の民間人殺害に使われていることを把握した」。仏軍内部では、情報収集活動が不適切に利用されていることが、定期的に上官に報告されていた。

 ディスクローズが入手した流出文書によれば、仏軍は2016~18年に少なくとも19回に及ぶ民間人を標的とした空爆に関与したことになる。

「シルリ」は2016年2月、フランソワ・オランド(Francois Hollande)政権下で始まった。国防省軍事偵察局(DRM)と空軍が、エジプトによる提供装備の利用実態に関する懸念を表明したにもかかわらず、作戦は継続された。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領がエジプトを公式訪問する直前の2019年1月22日にも、パルリ国防相に同様の報告が上がったが、その後も仏軍部隊のエジプト配備は続いているとディスクローズは指摘している。(c)AFP