【11月15日 AFP】フランスのレストラン格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」が、双子の兄弟をロシア最高シェフに評価すると、2人のレストラン「ツインズ・ガーデン(Twins Garden)」のウェブサイトはアクセスが集中しダウンしてしまった。

 モスクワにあるツインズ・ガーデンは、ミシュランの二つ星を獲得した夜も「いつも通り満席だった」と双子の一人イワン・ベレズツキ(Ivan Berezutskiy)さん(35)はAFPに語った。「お客さんが立ち上がって拍手をし、口々に祝ってくれた」

 電話やメッセージが殺到し、予約の受け付けもできないほどだった。

 赤い表紙で知られるミシュランガイドは先月、初のモスクワ版を発表した。二つ星はツインズ・ガーデンを含め2店、一つ星は7店となった。

 ツインズ・ガーデンは持続可能性に関する取り組みを評価する「ミシュラングリーンスター」を獲得した他、ベストサービス賞も受賞した。

 店は2017年のオープン当初から、モスクワのトップレストランの一つとして名をはせ、「世界のレストランベスト50(World's 50 Best Restaurants)」にランクインしたこともある。

「科学と自然の共生」を掲げ、ロシアの伝統的なオーブンに加え、マッシュルーム栽培用の壁や3Dフードプリンターのあるハイテクラボを併設している。

 イワンさんとセルゲイ(Sergei Berezutskiy)さんの出身地クラスノダール(Krasnodar)地方のアルマビル(Armavir)は、温暖な気候と野菜が豊富なことで知られている。

 兄弟のインスピレーションとなっているのはロシア南部の料理と、クッキーを焼いたり、辛くてスパイシーなディップ「アジカ」を作ったりした子どもの頃の思い出だと言う。「幼い頃は母が料理するのを手伝うのが大好きだった」とイワンさん。

 兄弟は現在、レストランで使う野菜の大半をモスクワ郊外の自家農園で栽培している。野菜ワインも開発した。

 ロシアはかつて「美食不毛の地」と揶揄(やゆ)された。しかし近年は、旧ソ連崩壊後数年の面白みがないという評価から脱却しつつある。

 以前は欧米諸国から輸入した肉やチーズ、魚を使っていたシェフも多かった。しかし、2014年のウクライナ南部クリミア(Crimea)半島併合後の欧米諸国による制裁の影響で、今では北極海の魚や極東のタラバガニなど国産食材を使う店が増えている。

 2人はキャベツやビーツといったロシアの伝統的な食材を含む野菜作りに情熱を注いでおり、店を訪れた人には採れたての野菜の味を堪能してもらいたいと語っている。

 映像は10月15日撮影。(c)AFP/Andrea PALASCIANO