【11月15日 AFP】ロードレース世界選手権(WGP 2021)第18戦バレンシアGPは14日、MotoGPクラス決勝が行われ、通算9度の世界タイトル獲得を誇るペトロナス・ヤマハSRT(Petronas Yamaha SRT)のバレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi、イタリア)が、26年に及ぶ現役キャリアの最終レースを走った。ロッシは「新シーズンが始まる来年3月には」引退のつらさをとりわけ感じるだろうと話している。

 1996年から現役をスタートさせ、現在42歳になるロッシは、自身通算432回目のGPに臨み、10位で最終戦を終えた。

 フィニッシュラインを切り、ファンとライダー仲間にねぎらわれた「ドクター」ことロッシは、「タイトルを争っているときのようにモチベーションは高かったし、集中していた。最後のレースは一回しかない、とても重要なものだから」とコメントした。

 そして「大きなプレッシャーがあって簡単ではなかったが、トップ10に入れたし、それは自分が世界トップ10のライダーの一人として長いキャリアを終えられるということじゃないかな」と笑い、「最下位で終わりたくはなかった」と明かした。

 MotoGPにとっておそらく最大の功労者であるロッシを盛大に送り出そうと、会場のバレンシア・サーキット(Circuit de la Comunitat Valenciana Ricardo Tormo)にはロッシのイニシャルとゼッケンを合わせた「VR46」の文字が各所に踊った。

 レースはロッシのまな弟子で、46という数字の書かれたヘルメットをかぶったドゥカティ・レノボ・チーム(Ducati Lenovo Team)のフランチェスコ・バニャイア(Francesco Bagnaia、イタリア)が優勝。フィニッシュしたロッシは7万5000人の観客のスタンディングオベーションを浴び、他のライダーたちの計らいで「ウイニングラン」を走った。

 ロッシは「とても感動的だった。パドックのすべての人と全ライダーから、素晴らしい後押しを受け、最高のリスペクトを感じた」と喜んだ。

 来季からは、ロッシが代表を務める「スカイ・レーシングチームVR46(Sky Racing Team VR46)」がドゥカティのサテライトチームとしてMotoGPに参戦するが、本人は、心から愛するスポーツの最高峰の舞台から去ることに早くも名残惜しさを感じている。

 代名詞の笑顔を見せながら、ロッシは「やめることを後悔しているよ。もうすでにね」と認め、「このあと数週間か数か月、特に新シーズンが始まる3月には、自分がそこにいないことをつらく思うだろう」とこぼした。

 もう一つの後悔は、これまで多くのタイトルを獲得してきた一方で、逃してきたものだという。

 ロッシは「10回目の世界タイトルを取れていればよかった」と笑い、「キャリアの最初の数年間に、最後の10年と同じように頑張っていれば、もっと勝てていたかもしれない」と話した。

「もっとも、若者がちょっとばかり愚かなのは仕方のないことだ。人はそうやって経験から学んでいく」 (c)AFP