【11月12日 AFP】南アフリカのフレデリク・デクラーク(Frederik de Klerk)元大統領が生前に残した動画メッセージが11日、亡くなった数時間後に同氏の財団により公開された。デクラーク氏はその中でアパルトヘイト(人種隔離政策)について改めて謝罪し、自らの汚点として強く意識していたことをうかがわせた。

 デクラーク氏は同日朝、がんのため85歳で死去した。

 デクラーク氏は、自身がアパルトヘイトを正当化し続けているとたびたび批判されてきたことに言及。「若い頃、アパルトヘイトを擁護していたことは事実だ」と認めた上で、「その後、私はアパルトヘイトが南アフリカの有色人種にもたらした苦痛と屈辱について、国民に何度も謝罪した。多くの人が私を信じてくれたが、信じてくれない人もいた」と述べた。

「アパルトヘイトが南アフリカの黒人や褐色人種、インド系の人々に与えた痛み、傷、侮辱、損害について、私は無条件で謝罪する」と表明。個人としても、アパルトヘイトを導入した国民党(National Party)の元党首としても謝罪の意を表すとした。

 同氏は1990年代には故ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)氏と並ぶ平和推進者として評価されていた。だが近年ではアパルトヘイトの擁護者とされ、過去の責任を認めようとしない白人社会の象徴とみなされていた。(c)AFP