【11月20日 AFP】ボリビアのアンデス(Andes)地方にある世界最高所のスキーリゾート地、チャカルタヤ(Chacaltaya)山のかつての栄光に思いをはせ、ベルナルド・グアラチー(Bernardo Guarachi)さん(67)は目を輝かせた。だが、今日ここは、気候変動の影響でさびれる一方だ。

 古びたスキーリフトのさびた柱とケーブルを指さしながら、登山家のグアラチーさんは「もはや墓場になってしまった」と語った。

 グアラチーさんは、かつて雪のじゅうたんの上を飛ぶように滑降した400メートルの斜面を見渡した。今、この斜面を覆うのは岩のみだ。

 30キロ離れたラパス(La Paz)の人々にとって、標高5300メートルのチャカルタヤ山は、家族で週末を過ごすのにうってつけのスポットだった。

 だが、チャカルタヤ山の氷河は縮小を続け、1940年から1998年の間にわずか7%にまで減り、2009年には完全に消滅した。

 ボリビアでは過去50年間で氷河の半分が失われた。このペースについて専門家は、地球温暖化が続く限り状況は悪化の一途をたどるとみている。

 国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)とノルウェーの財団「グリッドアレンダール(GRID-Arendal)」が2018年に発表した「アンデアン・グレーシャーズ・アンド・ウォーターズ・アトラス(Andean Glaciers and Waters Atlas)」によると、予期される地球温暖化により、2050年までにボリビアの永久凍土層の95%が消え、氷河のほぼすべてが消失するという。

 グアラチーさんは、ラパスを見下ろす大きな衛星都市エルアルト(El Alto)の方角に目を向けた。そこに見えるのは、スモッグが立ち込める二つの都市だ。

「人は一つの目的のために大きく変わってしまった。その目的とは金を、たくさんの金を稼ぐことだ。そして自然(と)山のことを忘れてしまった」 (c)AFP