【10月26日 AFP】米人気俳優のアレック・ボールドウィン(Alec Baldwin)さんが主演映画の撮影中に小道具の銃を誤射し、撮影監督が死亡した事故をめぐり、撮影現場での銃の使用について疑問が投げ掛けられている。

 ハリウッド(Hollywood)の映画界で小道具の武器を調達する仕事を30年間続けてきたギヨーム・ドルーシュ(Guillaume Delouche)氏は、通常はこうした悲劇が起きないよう安全策がいくつも用意されていると指摘した。

 映画界ではどのように銃が使用されているのか、ドルーシュ氏に聞いた。

■なぜ映画の撮影現場で本物の銃を使用するのか

 撮影後の編集段階でのCG処理は、以前に比べるとかなり容易で安価になったものの、多くの監督や俳優は、より本物らしさが出るとして本物の銃を使いたがるとドルーシュ氏は言う。

「模造銃の問題点は、(発砲した時の)反動がなく、煙も出ないことで、演技に差が出ます」と話す。ゴム製やプラスチック製の銃で演技してもらい、後からCGで銃弾が発射された効果を加えても、明確な違いが生まれるという。

■撮影現場での銃の取り扱いは?

 撮影現場での銃の取り扱い手順は必然的に厳しいものになっており、二重、三重のチェック態勢が取られているとドルーシュ氏は説明する。

 弾が込められていない銃を本物の銃同然に扱うが、多くの場合は本物の銃を改造したものだという。

「銃は保管庫で管理しています。撮影現場に持ち込む際には、空包(発射音だけが出る弾薬)には印を付け、色分けします」

 それからまず、銃の中身が空っぽであることをスタッフと俳優に示してから、空包を装填(そうてん)する。

「銃に空包を込めるときには、何度も伝えます」