【10月23日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領が、中国による攻撃に対する台湾防衛を宣言したことを受け、米政府は22日、台湾政策に変更はないと釈明し、対中関係の悪化防止に努めた。

 アジアの大国として影響力を強める中国は、台湾の武力統一も辞さない構えを示している。台湾周辺ではここ数か月、中国軍機による防空識別圏への進入が相次ぎ、緊張が高まっている。

 バイデン氏は21日夜、CNNテレビがボルティモア(Baltimore)で主催した市民との対話集会で、中国が台湾を攻撃した場合、米国は台湾を防衛するかと問われ、「イエス」と回答。「われわれにはその義務がある」と明言した。

 米国は1979年制定の台湾関係法(Taiwan Relations Act)に基づき、台湾の自衛能力強化に向けて武器を供与する一方で、有事に台湾を防衛するか明言しないという「戦略的曖昧さ」を長年にわたり保持してきた。バイデン氏の発言は、この方針に反するものとみられる。

 米政府は翌22日、台湾関係法に沿い行動する方針に変更はないと釈明。国務省のネッド・プライス(Ned Price)報道官も「大統領は政策の変更を発表したわけではない。政策に変更はない」と述べ、先にホワイトハウス(White House)が表明していた見解を繰り返した。

 ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部を訪問中のロイド・オースティン(Lloyd Austin)米国防長官は、「仮定の話」についてのコメントは控えるとした上で、米国は「台湾の自衛に必要な各種能力については引き続き支援する」と言明した。(c)AFP