【10月21日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)のボストン・セルティックス(Boston Celtics)に所属するエネス・カンター(Enes Kanter)が20日、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席を「残忍な独裁者」と非難し、「チベット自治区(Tibet Autonomous Region)はチベット人のもの」と主張。中国とNBAの緊張が再び高まる危機に陥っている。

 カンターはツイッター(Twitter)に「親愛なる残忍な習近平と中国政府へ。チベットはチベット人のものだ!」と投稿した。

「チベットの兄弟姉妹を支持し、彼らの自由を求める声を支援する」とつづったたカンターは、チベットのモチーフが描かれ、「フリーチベット(Free Tibet)」のスローガンが記されたスニーカーの写真を掲載した。

 チベットは何世紀にもわたって中国による支配と独立を繰り返してきた。中国は1951年にチベットを「平和解放」し、インフラを整備してかつて未開だった地域に教育を施したと主張している。

 しかし人権活動家や亡命者らは、中国中央政府が強制的な再教育を通じて宗教弾圧や拷問、強制的な不妊手術、そして文化侵略を常態化させていると証言している。

 NBAをはじめとした世界的ブランドは、近年PRクライシス(世間からの批判によって企業の評判が危機にさらされること)に見舞われていて、政治的に繊細な問題に触れた場合、中国で経済的なダメージを受けている。

 中国国内では21日、IT大手の騰訊控股(テンセント、Tencent)のスポーツサイトで、今後行われる予定だったセルティックスの試合が、中継リストから削除されている。

 2019年には、ヒューストン・ロケッツ(Houston Rockets)のダリル・モリー(Daryl Morey)ゼネラルマネジャー(GM、当時)が香港の反政府デモを支持する内容のツイートをしたため、中国ではNBAの中継が取りやめられた。(c)AFP