【10月20日 AFP】ミャンマー軍に抗議するデモに参加したとして拘束されていた市民が19日、ヤンゴン市内の刑務所から解放され、家族らと再会した。

 同国は2月のクーデター以降混乱状態が続いている。地元監視団体によると、軍による抗議デモ弾圧でこれまでに市民1000人以上が死亡、8000人以上が拘束された。

 国際社会の圧力が高まる中、軍は18日、仏教の祭りタディンジュ(Thadingyut)に合わせ5000人以上を解放すると発表した。

 ヤンゴンのインセイン(Insein)刑務所の外には19日朝、数か月ぶりの再会を期待し、家族が押し寄せた。花や家族の名前を書いた紙を持っている人もいた。

 刑務所から出てきた息子を出迎えた女性は「とても会いたかった」と号泣し、息子を「誇りに思う」と語った。

 解放された市民を乗せたバスが刑務所から出てくると、歓声が上がった。バスの中の人々は親指を立てたり、抗議を示すサインとなっている3本指を立てるポーズをとったりした。

 半年ほど前に拘束された男性は、「解放されてよかった。でも、まだ解放されていない人のために力を尽くさなければならない」と語り、周囲の人々に3本指を掲げて見せた。

 シンクタンク「国際危機グループ(ICG)」のリチャード・ホーシー(Richard Horsey)氏はAFPに対し、市民の解放は国内外で軍への反発が高まる中での戦略的な対応だと指摘した。

「この種の身勝手な対応は20年前なら有効だったかもしれない。(中略)だが、今ではこれで軍事政権の立場が改善されることはないだろう」

 軍は6月にも、軍事政権に批判的な記者やクーデターへの抗議活動に参加した市民2000人以上を解放している。(c)AFP