【10月19日 AFP】カリブ海(Caribbean Sea)の島国ハイチで18日、急速な治安悪化に抗議するゼネストが行われた。16日には米国とカナダの宣教師ら17人がギャングに誘拐される事件が起きたばかり。

 西半球の最貧国ハイチでは7月、ジョブネル・モイーズ(Jovenel Moise)大統領が暗殺され、政情不安が続き混乱状態に陥っている。

 個人事業主・運転手組合(Association of Owners and Driver)のシャンジュー・メフ(Changeux Mehu)組合長はAFPに対し、「われわれが助けを求めてから数か月が経過したが誘拐の恐れはなくなっていないため、国民に対し全活動を中止するよう呼び掛けた」と述べた。

「誘拐、レイプなどギャングはやりたい放題だ」と語った。「もうたくさんだ」

 地元メディアは首都ポルトープランスで18日、店舗や政府機関、学校が閉鎖されたと報じた。

 パトカー数台が幹線道路沿いを中心に巡回していたが、街は比較的静かだった。AFPカメラマンによると、ある通りではタイヤのバリケードが燃やされた。

 ポルトープランスの中心部にいた20代の男性は「家族や友人、知り合いが誘拐されたと毎日聞かされている。やっていられない」と語った。

 企業団体などは先週からゼネストの決行を呼び掛けていたが、16日に米国人16人、カナダ人1人がギャングに誘拐された事件を受け、賛同の声が高まった。

 米国を拠点とする援助団体クリスチャン・エイド・ミニストリーズ(Christian Aid Ministries)は、宣教師らが孤児院を訪れた帰りにポルトープランス東部で誘拐されたとしている。この中には子ども5人も含まれているという。

 ポルトープランスの貧困地区を長年牛耳ってきた武装集団は、同市と周辺地域での支配を強化しており、誘拐事件が急増している。

 人権分析研究センター(CARDH)によると、同国の今年1~9月の誘拐事件の発生件数は前年同時期の231件から600件以上に大幅に増加した。(c)AFP