【10月17日 AFP】イスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を授業の教材にしたフランス人教師のサミュエル・パティ(Samuel Paty)氏(当時47)が過激主義者に斬首された事件から16日で1年となり、各地で追悼式典が開かれた。

 パリ近郊コンフランサントノリーヌ(Conflans Sainte-Honorine)の中学校で歴史と地理を教えていたパティ氏は昨年10月16日、学校からの帰宅途中に刃物で刺され、首を切られた。

 ジャン・カステックス(Jean Castex)首相は式典で遺族を前に、「サミュエル・パティ氏を追悼することはフランスを追悼することだ」と演説。「パティ氏はイスラム過激派によるテロと人間の卑劣さの犠牲となった」と語った。

 カステックス氏が公開した教育省入り口に設置されたプレートには、パティ氏をたたえる文言と「表現の自由といったフランスの価値観を教え、守り、イスラム教のテロリストに殺害された」と書かれていた。

 パティ氏が勤務していた中学校でも追悼式典が行われ、元同僚や生徒ら約1000人が出席。式では、本の形をしたパティ氏をたたえる記念碑が公開された。

 イスラム過激派による事件が相次いでいる中でパティ氏の事件から1年を迎え、公の場では厳格な宗教色のないフランス社会でも移民の受け入れや社会への統合についての議論が再燃している。来年には大統領選も控えている。

 事件後、仏全土では表現の自由を擁護する大規模なデモが行われた一方、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が「われわれは風刺画をやめることはない」と宣言したことに対しては、トルコやリビア、チュニジアといったイスラム教徒が多数を占める国々から反発を招いた。(c)AFP