【10月14日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ(John Coates)副会長は13日、北京冬季五輪に先立って人権問題で中国に圧力をかける考えはないと表明した。

 中国におけるイスラム系少数民族ウイグル人の状況について問われたコーツ副会長は、IOCには行動を起こす義務はないと答えた。

 母国オーストラリアで開催されたイベントでコーツ副会長は、「われわれは世界政府ではない。五輪開催国の主権を尊重しなければならない」と話した。

 新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)では、ウイグル人のイスラム教徒ら100万人以上が収容所に送られていると多くの人権団体は考えている。

 しかしコーツ副会長は、「われわれには国に立ち入り、彼らにどうすべきかを指示する能力はない。それはわれわれの権限ではない」とコメントした。

 五輪開催国を決定し、大会運営に協力するIOCは五輪の「守護者」を自称し、「スポーツを通じたより良い世界の構築」を誓っている。

 北京冬季五輪は来年2月に開催されるが、スポンサーや関係各所には大会をボイコットするか、中国の人権状況に抗議する方法を模索するよう圧力がかかっている。

 米議員らは公聴会で、国内クレジットカード大手ビザ(Visa)や民泊仲介の「エアビーアンドビー(Airbnb)」など大手スポンサー5社の代表者らに対し、北京冬季五輪の協賛を続けるならば、新疆ウイグル自治区で行われているとされるジェノサイド(大量虐殺)や人権侵害を支持することになると批判した。

 これに対し中国政府は、米議員らが「スポーツを政治問題化」して中国を中傷していると非難している。(c)AFP