【10月12日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領が2008年のアフガニスタン訪問中、吹雪で身動きが取れなくなった際に救出に貢献した通訳が、家族と共にアフガンから国外に退避した。米国務省が11日、明らかにした。

 同省報道官はAFPに対し、アマン・ハリリ(Aman Khalili)氏と家族は陸路でパキスタンに入国した後、米政府機でカタールの首都ドーハに渡ったと語った。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は8月、ハリリ氏と妻、子ども5人がイスラム主義組織タリバン(Taliban)の首都カブール制圧後、緊急退避便に搭乗できずに身を隠していると報じていた。

 2008年にアフガンを訪問したバイデン氏はヘリコプターで移動中、吹雪に見舞われ、へき地での不時着を余儀なくされた。バイデン氏には、チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)元国防長官とジョン・ケリー(John Kerry)米大統領特使(気候変動問題担当)も同行していた。

 山中に不時着したバイデン氏らがタリバンに攻撃される恐れがあったため、バグラム空軍基地(Bagram Air Base)から救助隊が出動し、ハリリ氏も加わった。

 それから13年後、タリバンのアフガン制圧を受けて、ハリリ氏は米国への退避を申請したが、手続きが間に合わなかった。

 緊急退避の最終便がたった8月30日、ハリリ氏はWSJに「こんにちは、大統領閣下。私と家族を助けてください」と語っていた。「ここにいる私を忘れないでください」

 米ホワイトハウス(White House)のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は8月31日の記者会見で、「あなたを退避させる。あなたの貢献に敬意を表する」と述べていた。

 退避作戦終了後、ハリリ氏一家はアフガン系米国人団体や米退役軍人団体の支援を受けてカブールの安全な場所に身を隠していた。

 ハリリ氏一家はパスポート(旅券)がそろっていないことなどからマザリシャリフ(Mazar-i-Sharif)発の退避便に搭乗できず、陸路で2日かけてパキスタン国境にひそかに移動し、今月5日に越境した。

 WSJによると、米国務省はハリリ氏一家に米国への特別移住ビザ(査証)を発給する計画を早急に進めている。(c)AFP