【10月6日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)で2度のファイナル王者に輝き、欧州で最も成功した選手として知られるスペインのパウ・ガソル(Pau Gasol)が5日、現役引退を発表した。「難しい決断」だったと話したガソルだが、41歳での選択に満足しているという。

 先日メンフィス・グリズリーズ(Memphis Grizzlies)から放出されたマルク(Marc Gasol)の兄であるガソルは、ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)の一員として2009年と2010年にNBAを連覇した。

 2年前には足のけがに見舞われ、予定よりも早くに現役を引退する恐れもあったガソルは、スペイン・バルセロナ(Barcelona)で行われた記者会見で、報道陣に「難しい決断だ。ご想像の通り、これだけ長く現役を続けた後だから困難だが、熟考した末の決断。少しギアを変えて、楽しみ方を学ばねばならない」と語った。

「松葉づえをついたり手術をしたりする状態ではなく、プレーをして楽しんだまま終わりたかった」

 2002年の新人王であるガソルは6度のオールスター出場を誇り、レイカーズの一員としてコービー・ブライアント(Kobe Bryant)氏と共に2年連続でNBAチャンピオンに輝いた。

 グリズリーズやシカゴ・ブルズ(Chicago Bulls)、サンアントニオ・スパーズ(San Antonio Spurs)、ミルウォーキー・バックス(Milwaukee Bucks)でもプレーしたガソルは、スペイン代表としても五輪で銀メダルを二つ、銅メダルを一つ獲得。FIBA欧州選手権(EuroBasket)でも3度の優勝を果たした。

「黄金世代」と呼ばれたスペインのリーダーだったガソルは、マルクやグリズリーズで活躍したファン・カルロス・ナバーロ(Juan Carlos Navarro)氏、ポートランド・トレイルブレイザーズ(Portland Trail Blazers)でプレーしたルディ・フェルナンデス(Rudy Fernandez)氏らを擁するチームをけん引し、2006年のFIBAバスケットボール・ワールドカップ(FIBA Basketball World Cup)で優勝に導いた。

 身長216センチで欧州選手権の歴代最多得点記録を更新したガソルは、ドイツのダーク・ノビツキー(Dirk Nowitzki)氏やクロアチアのドラジェン・ペトロビッチ(Drazen Petrovic)氏、「ギリシャの怪物」として知られるヤニス・アデトクンポ(Giannis Antetokounmpo)、フランスのトニー・パーカー(Tony Parker)氏と並び、NBAで活躍した欧州最高の選手の一人となっている。

 スペインが米国に敗れた東京五輪の準々決勝が、ガソルにとっての代表ラストマッチとなった。

 一方、所属していたFCバルセロナ(FC Barcelona Lassa)では6月にリーグ優勝を果たしたが、ユーロリーグ(Euroleague)を制すことはできなかった。

「全ての人に感謝している。バルサ(バルセロナの愛称)でもう一つリーグで優勝できた」

 指導者になることは望んでいないと述べたガソルだが、20年以上にわたって活躍したバスケットボール界に自身の未来はあると示唆した。

「コンサルタントやディレクター…そのうち分かる。すでに多くのNBAチームとの話し合いを始めている」 (c)AFP