【10月22日 AFP】1949年、ロシア極東のシベリア(Siberia)で核兵器用のウラン鉱床を探していた旧ソ連の調査隊は偶然、広大な銅鉱床を発見した。それから70年以上がたち、ついに来年、鉱業コンビナートが稼働を開始する。

「極東地方の生活、そしてロシアと世界の鉱業界全体にとって待ちに待った出来事だ」と語るのは、2019年からコンビナート建設を進めてきた開発会社ウドカン・コパー(Udokan Copper)のワレリー・カジカエフ(Valery Kazikayev)会長(66)だ。

 ウドカン(Udokan)銅山はモスクワから東に約6500キロ、地震多発地帯の永久凍土層の上にある。冬の気温は氷点下60度まで下がることもある。

 カジカエフ氏によるとこうした条件下でのコンビナート建設は難しく、「膨大な費用」がかかっている。だが、銅の埋蔵量は2600万トン以上。未開発の銅山としてはロシアで最大、世界では3番目の規模を誇る。

 格付け会社フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)のアナリスト、ユリア・バクニワ(Yulia Buchneva)氏は「グリーンエコノミー(環境に優しい経済)」の拡大に伴い「今後15年で、銅の需要は30%増大する」と予測する。

 バクニワ氏によると、電気と熱の伝導性が高い銅は、再生可能エネルギーやグリーンテクノロジーの分野で重要な役割を果たす。例えば生産が拡大している電気自動車(EV)に銅は欠かせない。

 ウドカンが注目しているのは銅需要が高いアジア市場、とりわけ中国、韓国、そして日本だ。

 同社は、シベリアから太平洋まで4000キロ以上を結ぼうと建設中のバイカル・アムール鉄道(Baikal-Amur MainlineBAM)で、銅の加工品を中国国境や日本海(Sea of Japan)に面したロシアの各港まで運ぶ考えだ。

 カジカエフ会長によると、ウドカン銅山からはモスクワより東京の方が2000キロも近い。(c)AFP/Andrea PALASCIANO