【10月2日 AFP】「次世代サッカーゲーム」として登場した待望の新作が、どうやらゴールを外してしまったようだ──。コナミデジタルエンタテインメント(Konami Digital Entertainment)の新作サッカーゲーム「eFootball 2022」をプレーした人から、そのグラフィックやゲーム性を嘲笑する声が相次いでいる。

 同作は、人気サッカーゲームシリーズ「ウイニングイレブン(英語タイトルはPro Evolution Soccer)」の名称を「eFootball」に変えた新シリーズの第1弾として、9月30日に無料配信が始まった。幅広いゲーマー層を狙い、プレイステーション(PlayStation)やXboxに加え、パソコン向けにも配信された。

 しかし配信直後、ソーシャルメディアでは落胆したプレーヤーが苦情や嘲笑のコメントを相次いで投稿。苦情が相次いで発売直後にプレイステーション・ストア(PlayStation Store)から取り下げられた期待作「サイバーパンク2077(Cyberpunk 2077)」をほうふつとさせる事態となった。

 一部のユーザーは、ゲーム内で再現されたスター選手たちのビジュアルを嘲笑。ツイッター(Twitter)には、滑稽な表情をしたクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)選手のスクリーンショットが投稿された。FCバルセロナ(FC Barcelona)のアンス・ファティ(Ansu Fati)選手が、両腕を後方に伸ばした「ナルト走り」の姿勢でゴールに向かって疾走する動画も投稿されている。

 1日時点で、パソコン向けゲーム配信プラットフォーム「スチーム(Steam)」に寄せられた1万400件以上のレビューのうち、好評は8%のみで、今のところファンの期待に沿わない結果となっている。

 コナミは1日、同作については不具合の報告に加え、「パスのスピードやディフェンス操作など、ゲームバランスについてのご意見やご要望を数多くお寄せいただいている」と認めた上で、「いただいた内容を真摯(しんし)に受け止め、改善に努めてまいります。本作は継続的なアップデートを実施し、クオリティーの向上やコンテンツの追加を順次行う予定です」と説明。利用者へのアンケートを実施して意見を集めた上で、10月中にアップデートを配信すると発表した。

 東京のゲームコンサルティング会社カンタンゲームズ(Kantan Games)のアナリスト、セルカン・トト(Serkan Toto)氏も、同作に対する評価は厳しい。同氏はAFPに対し、「試してみたが、まるでサッカーゲームのパロディーのようだ。プレー感は滑稽でグロテスクなほどひどい。コナミ社内では皆、これがうまくいかないことを知っていたのではと思わせるほどだ」と酷評。コナミは配信を「急ぎすぎた」と指摘した。

 トト氏は、ゲーム大手エレクトロニック・アーツ(EA)が1日に発売した人気サッカーゲームシリーズ新作「FIFA 22」に対抗するために、コナミが「抜本的な措置を取らなければならなかった」と分析。「だがFIFAと対等に勝負したいなら、あのような製品は配信してはいけない。マクドナルド(McDonald's)のメニューを提供しながら、ミシュラン(Michelin)の星付きレストランと競い合おうとするようなものだ」と語った。

 一方で、アストリス・アドバイザリー(Astris Advisory)のゲームアナリスト、デイビッド・ギブソン(David Gibson)氏はAFPに対し、「非常に悪い出だし」となったものの、同作が成功する可能性はまだあると語った。「このゲームがもう終わりだとは言えない。滑り出しは明らかに悪く、修正が必要な問題も多いが、修正は可能だ」

 ギブソン氏は、コナミが今後しばらく様子を見ながらフィードバックやプレーヤー数を見定める可能性は高いが、その後にはサービス停止の是非をめぐり「非常に厳しい決断を強いられるだろう」との見方を示した。(c)AFP