【10月1日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中、ナチス・ドイツ(Nazi)の強制収容所で、秘書として1万人以上の殺害をほう助した罪に問われた96歳の女性被告が9月30日、ドイツの裁判所での公判開始直前に逃走を図ったものの、数時間後に発見された。

 イルムガルド・フルヒナー(Irmgard Furchner)被告は、ナチス占領下のポーランドのシュトゥットホーフ(Stutthof)強制収容所で、1万人以上の殺害をほう助したとして起訴された。ナチス時代の犯罪で女性が起訴されるのはまれ。

 イツェホー(Itzehoe)の裁判所によると、フルヒナー被告は30日朝、居住する高齢者施設を出て、タクシーで地下鉄駅に向かったものの、出廷しなかった。被告は先に裁判所に対し、出廷しない旨を伝える書簡を送っていたという。

 裁判所は逮捕状を出したが、数時間後に被告を発見。今後、被告を再勾留するかどうかを判断するという。審理は10月19日まで延期された。

 検察は、1943年6月から1945年4月にかけて、当時18~19歳だったフルヒナー被告が被収容者の組織的な殺人をほう助したと主張している。同収容所では、約6万5000人が死亡した。

 第2次世界大戦の終結から76年が経過し、ナチス関係者を裁くために残された時間はわずかとなっている。近年では、容疑者が死亡した、あるいは裁判に耐え得る健康状態にないという理由で、訴追の見送りが相次いでいる。フルヒナー被告については、裁判所が長期の検討を経て、公判に耐え得るとの判断を今年2月に示していた。(c)AFP/Yannick PASQUET