【9月27日 AFP】ガラス容器の中で泡立つ液体に、米国のスタートアップ企業の期待がかかる。栄養豊富な餌をラボで生み出し、ペットフード業界に変革を起こす試みだ。

 大半のペットフードは動物性タンパク質を含んでいる。動物性タンパク質を得るためには動物を殺さなければならない上、食用に動物を飼育することは温室効果ガスの発生につながる。

 リッチ・ケルマン(Rich Kelleman)氏がコロラド州ボールダー(Boulder)で起業した「ボンド・ペット・フーズ(Bond Pet Foods)」は、バイオ技術を使い動物性タンパク質を作り出すことで、これら二つの落とし穴を避けようとしている。

 ケルマン氏を突き動かしたのは、ペットフードを作る際の家畜の扱いに対する嫌悪感だった。

 ある研究結果が、さらにケルマン氏に衝撃を与えた。米国内のペットが消費する動物由来のカロリーは、6500万人を超えるフランス国民の消費量に相当するという内容だった。

 気候変動に与える家畜の影響も、ケルマン氏の決意を後押しした。国連(UN)のデータによると、人間の活動による温室効果ガス排出量の14.5%は、動物を食用に飼育することに関連するという。

 しかし、犬や猫の栄養は野菜だけで十分とは言い切れない。

 リサーチの末、ケルマン氏はラボでペットフードを生み出す「暗号を解読」できれば、新しい市場が開けると確信した。

「犬や猫の口に合わなければなりません。でも、完全にステーキや胸肉の形に見える必要はありません」とケルマン氏は社を訪れたAFP取材班に語った。「口当たりが大事、ということでもありません。人間向けには、味や食感を含めたシズル感にこだわる必要がありますが、それとは違います」

 開発に当たっては、純血種のニワトリから採血してDNAを抽出し、それを微生物に移入した。

 さらに、微生物を発酵槽に入れ、ラボ生まれの動物性タンパク質を作り出した。

「奇妙で不思議なプロセスに聞こえるかもしれません。でも、かなり前から広く行われています」とケルマン氏は話した。