【9月27日 東方新報】「やだやだ、もっとゲームがしたい!」

 10歳に満たない子どもがスマートフォンを握り締め、足をバタバタさせながら泣き叫んでいる。

 中国政府が「ゲーム制限令」といえる方針を発表して以降、インターネット上ではゲームができずにかんしゃくを起こす子どもの投稿動画を見かけるようになった。

 中国でオンラインゲームの販売承認権限を持つ国家新聞出版署は8月30日、「18歳未満の子どもがオンラインゲームをするのは金、土、日曜と祝日の午後8~9時のみとする」と発表。オンラインゲームの有料アイテムに使う課金の上限も定めた。それまでの「平日は90分以内、週末は3時間以内、午後10時から午前8時までは禁止」という規制をさらに厳格化した。

 方針に基づいて対策を徹底するよう指示されたインターネット企業は、本人確認の認証システムを強化するなどの対応に追われている。中国ではもともとオンラインゲームをする際に実名登録などが必要だが、他人のアカウントを使ってゲームをすることも横行している。オンラインゲームの大ヒット作「王者栄耀(Honor of Kings)」を手がけるIT大手の騰訊(テンセント、Tencent)は9月6日、アカウントの有償貸与などをしている20以上の取引プラットフォームなどにサービスの停止を要求したと表明した。

 北京市では、深夜でも未成年がオンラインゲームをできるようにしていたプラットフォームを摘発し、運営業者に10万元(約170万円)、責任者に1万元(約17万円)の罰金を科した。

 中国では6月に施行された改正未成年者保護法でも、IT企業に未成年対策を取るよう義務化している。海外で「ティックトック(TikTok)」を運営している字節跳動(ByteDance、バイトダンス)は9月17日、国内のショート動画プラットフォーム「抖音(Douyin)」に、14歳以下向けの「青少年モード」を導入すると発表した。1日の利用時間は40分まで、午後10時から午前6時までは利用できなくするほか、科学実験や歴史の解説、博物館紹介などの教育向けコンテンツを充実させる。ユーザーの登録情報に基づき、14歳以下であれば自動的に青少年モードしか使用できなくなる。中国で活発となっているeスポーツ業界でも、大会主催者が「今後、18歳未満は出場できない」と年齢制限を相次いで表明している。

 ネット上では、子どもたちがおもちゃの銃で遊んだり、トランプをしたりと、昔ながらの遊びに回帰している投稿動画も増えてきた。週末に美術館や図書館を訪れる親子が増えており、広州市(Guangzhou)の図書館では9月に入り、週末の平均受付数が8月に比べて約30%増加したという。

 7月に発表された「未成年者のインターネット利用に関する全国調査報告」によると、インターネットを利用している未成年者のうち62.5%がオンラインゲームを定期的にプレイしている。視力の低下、寝不足、心の健康への悪影響、課金のため同級生や年下から現金を脅し取るなど多くの問題が報告され、政府は一種の「国難」ととらえ、対策を徹底しようとしている。(c)東方新報/AFPBB News