【9月24日 AFP】米国務省のダニエル・フット(Daniel Foote)ハイチ担当特使が、米・メキシコ国境からハイチ移民を強制送還しているジョー・バイデン(Joe Biden)政権の政策に抗議して辞任したことが23日、明らかになった。フット氏は2か月前に就任したばかりだった。

 フット氏はアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官に宛てた辞表で、政府を痛烈に批判。「日常生活を支配している武装集団がもたらす危険のため、米職員が安全な敷地内に閉じ込められているような国であるハイチに、何千人ものハイチ難民と不法移民を強制送還するという、非人道的かつ逆効果を生む米国の決定に、私は関わらない」と表明した。

 ハイチの人々は貧困や治安悪化に見舞われており、「さらなる回避可能な人的悲劇を起こすことなく、食料や住居、資金のない何千人もの帰還移民の強制的流入を支えることなどできない」とし、「難民の増加は、絶望と犯罪をさらに助長する」とも指摘した。

 バイデン政権は先週末、メキシコから米国入りしたハイチ移民を航空機で強制送還する措置を開始した。移民の多くは数年前、ハイチの深刻な貧困と治安悪化から逃れ、南米に渡っていた人々だ。

 ハイチ移民の問題は、米政府が国境地帯で直面する課題を浮き彫りにした。メキシコから不法入国を試みた人の数は8月、前年同月の4倍以上となる約20万9000人に達した。(c)AFP