【9月23日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は21日、「陰険な企て」により自身の納税記録を入手したとして、めいのメアリー・トランプ(Mary Trump)氏と主要紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)を相手取り、1億ドル(約110億円)の損害賠償を求めて提訴した。同紙は、この納税記録に基づいた調査報道でピュリツァー賞(Pulitzer Prize)を受賞していた。

 トランプ氏はダッチェス(Dutchess)郡州地裁(ニューヨーク州)に提出した訴状で、同紙記者3人が自身の「非公表の納税記録を入手する大掛かりな運動」を展開したと主張。メアリー氏と同紙の動機は「個人的な報復」にあったと訴えている。

 同紙と記者3人は2019年、トランプ氏とその一族の資産をめぐる調査報道記事でピュリツァー賞を受賞した。記事では、トランプ氏が父親の不動産事業から現在の価値にして4億ドル(約440億円)規模の資産を受け継いだものの、その大部分に税務不正があったとされた。

 メアリー氏は、トランプ氏の兄の故フレッド・トランプ・ジュニア(Fred Trump Jr)氏の娘。2020年に出版した一族に関する暴露本「世界で最も危険な男(Too Much and Never Enough: How My Family Created the World's Most Dangerous Man)」の中で、同紙報道の主な情報源は自分だったと明かしていた。

 トランプ氏によると、メアリー氏は2001年、トランプ氏の父フレッド・トランプ・シニア(Fred Trump Sr.)氏の遺産分配で合意が交わされた際、守秘義務契約に署名。トランプ氏は、メアリー氏の情報提供は同契約違反に当たるとして、1億ドルの損害賠償に加え、メアリー氏が暴露本で得た全収益を譲渡するよう求めている。

 NBCによると、提訴を受けてメアリー氏はトランプ氏を「負け犬」と呼び、「ドナルドがいつもそうするように、また話をすり替えようとしている」と述べた。

 トランプ氏は現在、税金詐欺の他、一族経営の複合企業「トランプ・オーガニゼーション(Trump Organization)」の税務処理不正をめぐり、ニューヨーク当局による捜査を受けている。(c)AFP