【9月22日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は21日、国連総会(UN General Assembly)での一般討論演説で、海外の石炭火力事業への投資を停止すると表明した。気候変動の原因となる石炭火力発電への主な資金源が絶たれることになる。

 習氏は事前に録画したビデオを通じた演説で、世界の気候変動対策に貢献する取り組みを加速させると約束。「中国は、他の発展途上国が環境に優しく低炭素のエネルギーを開発するための支援を強化する。海外で新たな石炭火力発電所を建設することはない」と宣言した上で、「われわれは新型コロナウイルス後の時代に新たな成長の原動力となるものを育て、人と自然の調和を大切にしながら、飛躍的な発展を共同で実現していくべきだ」と呼び掛けた。

 中国は「一帯一路(Belt and Road)」構想の一環として世界各地のインフラ事業に関わっており、これまでは石炭事業にも門戸を開いていた。各国の非政府組織(NGO)から成る連合は今年、中国の国有銀行である中国銀行(Bank of China)に対する書簡で、同行が石炭事業への最大の単独出資者となっており、2015年に地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」が締結されて以降、350億ドル(約3兆8000億円)を融資していると指摘していた。

 中国は一方で、国内の石炭事業に対する投資を続け、米国でも政治的に繊細な問題となっている産業形態を維持している。(c)AFP