【9月24日 AFP】30年前の9月24日にリリースされた米ロックバンド「ニルヴァーナ(Nirvana)」のアルバム「ネヴァーマインド(Nevermind)」は、世界中で3000万枚を売り上げ、金字塔を打ち立てた。それと同時に、ボーカルの故カート・コバーン(Kurt Cobain)を悲劇のカリスマに押し上げた。

 ニルヴァーナは昨年、米音楽誌「スピン(Spin)」で史上最も影響力のあるバンドに選ばれた。今なお米歌手ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)やラナ・デル・レイ(Lana Del Rey)、英歌手フランク・ターナー(Frank Turner)をはじめ、さまざまなアーティストが感化されている。

「ネヴァーマインド」のシングル「Smells Like Teen Spirit」は、音楽専門チャンネルMTVや世界中のラジオ局でヘビーローテーションされた。今年8月には、アルバムジャケットに生後間もない頃の自身の裸の写真を使われた米国人男性が性的搾取を理由にバンドを提訴し、アルバムは再び話題になった。

「ネヴァーマインド」が大ヒットした根底には、コバーンが抱えていた二面性とジレンマがある。無気力と反抗心、優しい気持ちと怒りのはざまでコバーンは揺れ動いた。

■「それまでのハードロックが時代遅れに」

「ネヴァーマインド」には、普段は交わることのないパンク、インディーズ、メタルのファンがそろって夢中になり、誰もが親しめるポップな要素もあった。

「ニルヴァーナは時代の期待に応えた」と指摘するのは、同じくグランジ・バンドの「ソニック・ユース(Sonic Youth)」でギタリスト兼ボーカリストとして活躍したサーストン・ムーア(Thurston Moore)だ。「すごくポップでありながら、うそがなく、これぞ米国のパンク精神というものを表現していた」

「このアルバムによって、それまでのハードロックが時代遅れなものになった」と、グランジ・ムーブメントに関する著書を最近発表したフランス人ジャーナリストのシャルロット・ブルム(Charlotte Blum)氏はAFPに語った。