【9月21日 AFP】ルワンダの首都キガリの高等裁判所は20日、映画『ホテル・ルワンダ(Hotel Rwanda)』で英雄として描かれ、後に同国政府批判の急先鋒(せんぽう)となったポール・ルセサバギナ(Paul Rusesabagina)被告(67)に対し、テロ関連の罪で禁錮25年を言い渡した。同氏の支援者は、政治的動機に基づく見せ物裁判だと批判している。

 裁判所は、7か月に及んだ審理を経た判決で、2018~19年に銃や手投げ弾、放火により9人を殺害した反政府組織に、同被告が関与したと結論。被告が「ルワンダを攻撃したテロ組織を設立し、テロ活動を財政的に支援した」と断じた。検察側は終身刑を求刑していたが、裁判所は被告が初犯であることから25年に減軽すべきと判断した。

 ルセサバギナ被告と弁護団はいずれも、判決の言い渡しには出席しなかった。一方、共同被告人20人は手錠を掛けられ、ピンクの囚人服を着て出廷し、それぞれ3~20年の刑を言い渡された。

 元ホテル支配人のルセサバギナ被告は、1994年に起きた大虐殺の際に1200人以上の命を救ったとされ、その際の行動がハリウッド映画の『ホテル・ルワンダ』で描かれた。96年にはベルギーに亡命。後に米国に移り住んだ。亡命中、自身の名声を利用して、ルワンダのポール・カガメ(Paul Kagame)大統領を独裁者と非難するようになった。

 昨年8月、ブルンジ行きと思い込み搭乗した飛行機がキガリに着陸した際に逮捕された。家族は、被告が誘拐されたと主張。被告が問われた九つの罪状を否定し、訴追は政府による報復だと訴えている。米国とベルギーの両政府は20日、ルセサバギナ被告が公正な裁判を受けられなかったとの懸念を表明した。(c)AFP