【9月20日 AFP】大西洋のスペイン領カナリア諸島(Canary Islands)の火山が19日、50年ぶりに噴火した。当局によると周辺住民約5000人が避難した。数日前から火山活動が観測されていた。

 噴火したのは、人口約8万人のラパルマ(La Palma)島南部のクンブレビエハ(Cumbre Vieja)火山。火口から溶岩が流れ出し、火山灰や煙が立ち上った。

 地元政府はツイッター(Twitter)で、午後3時(日本時間午後11時)ごろ「(島の中心部に位置する)エルパソ(El Paso)市のカベサデバカ(Cabeza de Vaca)地区で噴火が始まった」と発表した。

 最も高い警戒レベルが出されたのに伴い避難所が開設され、複数地区の住民が避難を余儀なくされた。

 カナリア州のアンヘル・ビクトル・トーレス(Angel Victor Torres)知事によると、カベサデバカは森林地帯で住宅がまばらなこともあり、これまでのところ死傷者は報告されていない。

 火山から噴き出した溶岩は民家に到達し、複数の道路が通行できなくなった。

 地元政府は、溶岩は民家が存在する森林地帯に向かって南西方向に移動し、海に流れ込むと予測している。カナリア諸島火山研究所(Involcan)によると、溶岩は時速700メートルで移動している。

 スペイン内務省は、治安部隊の隊員200人とヘリコプターを派遣したと発表した。

 ペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相は、国連総会(UN General Assembly)出席のための米国訪問予定を変更し、19日夜に現地入りした。

 噴火の数日前から地震活動が活発化し、マグマの移動が観測されていた。

 同研究所によると、1週間前から群発地震が発生しており、数千回の揺れが観測され、マグニチュード(M)4近くの揺れも確認された。

 クンブレビエハ火山は1900年代に、49年と71年の2度噴火している。(c)AFP