【9月10日 CNS】中国・福建省(Fujian)の高速道路で8月12日、中国の電気自動車メーカー・上海蔚来汽車(NIO)のスポーツタイプ多目的車(SUV)「ES8」を運転していたドライバーが衝突事故を起こし、死亡した。ドライバーは31歳の実業家で、NIO独自のナビゲーション補助機能「NOP(Navigate on Pilot)」を稼働して走っていた。

 この事故で、いわゆる「自動運転」機能の安全性について懸念が高まっているが、NIO無人運転システムエンジニアリング部門責任者の章健勇(Zhang Jianyong)氏は「NOPはあくまで運転支援機能であり、自動運転と同一視してはならない。NOPを使用する際は常に交通状況や道路環境に注意を払う必要がある」と強調している。

 自動運転に関して中国の自動車業界は、主に中国汽車工程学会(SAE)の分類基準に基づいている。基準はレベル0からレベル5までの段階に分かれ、レベル1とレベル2は「運転支援」に属し、レベル4とレベル5から本当の「自動運転」と見なすことができる。中国工業情報化省は2020年3月9日、国家規格として「自動車運転自動化レベル基準」を発表し、今年1月1日から施行。レベル0からレベル5に分け、レベル2までは運転補助、レベル3は条件付き自動運転、レベル4は高度な自動運転、レベル5が完全自動運転と区分している。SAEに比べてレベル3の基準が若干低い以外、ほぼ同じ基準となっている。

 国際基準と国内基準のどちらで区分しても、「運転支援」は自動運転には当たらない。しかし、ユーザーは運転支援も自動運転の一部と考えてしまう傾向がある。自動車メーカーも自社製品の技術を強調するあまり、ユーザーに誤解を与えている面がある。

 重慶大学(Chongqing University)マイクロエレクトロニクス・通信工程学院の韓慶文(Han Qingwen)准教授は「市場で激しい競争が続く中、一部企業の過剰なマーケティングは消費者を誤解させる恐れがある。消費者と監督部門はそれぞれ警戒する必要がある」と指摘する。

 運転支援機能はあくまで、ドライバーの疲労やストレスを軽減し、安全性を向上させるために開発されたもの。自動運転への不安感や規制強化を求める世論が高まる中、自動車メーカー側も過度な宣伝は抑制すると考えられるが、「自動運転」と「運転支援」の区別をさらに徹底する必要がある。(c)CNS/JCM/AFPBB News