【9月3日 AFP】中国を訪問中のジョン・ケリー(John Kerry)米大統領特使(気候変動問題担当)は2日、中国政府高官らと会談後、中国で続く石炭火力発電所の増設が世界の環境目標達成に向けた能力を「取り消す」恐れがあると警告した。

 米中両国はここ数か月、中国の人権問題や新型コロナウイルスへの初期対応をめぐり非難の応酬を繰り広げ、緊張を高めている。中国は、関係悪化により環境問題での協力に支障が出る可能性があると強調していた。中国は2030年までに石炭消費量を減らすと宣言しているが、昨年新設した石炭火力発電所の総容量は38.4ギガワットで、他の国々の合計の3倍以上となった。

 中国東部・天津(Tianjin)を訪問したケリー氏は2日夜、記者らに対し、米国は「気候危機に対する世界の取り組みにとって、石炭火力発電所の増設が大きな課題となる」との立場を明確にしてきたと説明。中国による石炭火力発電所の新設計画は「2050年までに(温暖化ガス排出量の)実質ゼロを達成するための世界の能力を取り消す」可能性があるとし、中国との協議は「非常に建設的」で、この問題に関して「非常に率直」な意見を伝えたと述べた。

 ケリー氏は今週、中国訪問に先立ち、日本を訪問。今回の外遊は、11月に開催される気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、緊急を要する気候変動問題への取り組みに対する支持を取り付ける狙いがある。(c)AFP