【8月29日 AFP】セネガルの首都ダカールの外れに広がるブベス(Mbeubeuss)埋め立て処分場。高く積み上げられたごみの山の上では鉄製のフックを手に、人々がプラスチックや金属の破片を拾い上げている。そばでは家畜やサギが餌を探している。

 人口300万人を超えるダカールで出たごみのほとんどが、この処分場に集まる。ごみをあさる人々は金属を見つけやすくするためにごみに火をつけ、それにより、近隣の住宅地に有害なガスが流れ出る。

 何十年もずさんな管理下にあったこの野外の処分場を、セネガル政府は数年のうちに、廃棄物分別センターにする計画だ。これは、処分場から利益を得ている地域経済を脅かす動きでもある。

 悪臭や煙をものともせず、処分場には約2000人が集まる。ごみの山をかき分け、プラスチックや鉄、アルミニウムを探し出して収入を得ているのだ。人々は再利用できそうなものを卸売業者に売り、業者はそれを企業に再販している。

 処分場に30年通っているという男性(50)は、分別センターの建設は、ごみ拾いに来る人々にとっては「よくない」と語った。

 ごみ拾いは危険で汚く大変だが、うまい人は金銭的には報われる。

 女性の非正規雇用問題に取り組むNGO「ウィーゴ(Wiego)」の2018年の調査によると、ブベスでごみを集める人の4分の1が、月に10万CFAフラン(約2万円)以上の収入を得ている。

 世界銀行(World Bank)によると、人口1600万人のセネガルでは、約4割が1日1ドル90セント(約208円)以下で生活している。

 廃棄物選別センターの建設のため、ブベスは2025年までに閉鎖される予定だ。

 ウィーゴのマゲット・ジョップ(Maguette Diop)氏は処理場の閉鎖に伴い「職を失う人が出る」と話し、ごみを拾う人々との関わりを強める必要性を強調した。

 マッキ・サル(Macky Sall)大統領は6月、ごみを拾う人々への支援を約束した。

 だが、前述の男性は心配している。「これからどうしていけばよいのか分からない」と語った。(c)AFP