【8月1日 AFP】米カリフォルニア州ロサンゼルス西部の町に、小さなプレハブ住宅が立ち並ぶコミュニティーができた。小さな建物は、「タイニーホーム(tiny homes)」と呼ばれ、ホームレスの人々の生活再建を目的に設置された。ロサンゼルス市のホームレス人口は、東海岸のニューヨーク市に次いで多い。

 76戸のタイニーホームが設置されたのは、市内ターザーナ(Tarzana)地区にある駐車場。各戸の床面積は6平方メートルで、ベッド2台と棚があり、冷暖房機器も完備されている。費用は市が負担した。1戸当たりの費用は6500ドル(約71万円)で、1時間半で設置できるという。トイレとシャワーは共同だ。

 住人の一人、ズリキンシャサ・マリア・テリー(Zuri-Kinshasa Maria Terry)さん(46)は、以前はストリッパーとして働いていたが、約1年前にホームレスとなった。新型コロナウイルスに感染し、約2週間にわたり集中治療室に入ったことがきっかけだった。タイニーホームに入居できるまでには、2か月ほどかかったという。

「このひどい世の中、外での生活は本当に怖かった」とテリーさん。安心して過ごせる場所を見つけられたことに「今も感謝している」という。

 路上生活や従来のホームレス宿泊所と比較し、一定のプライバシーが確保されることと、「安全」であることがこの施設の最も大きな特徴だとテリーさんは話す。

 ターザーナの施設を運営するNGO「ホープ・オブ・ザ・バレー(Hope of the Valley)」でプログラムマネジャーを務めるブランドン・ハナー(Brandon Hanner)氏は、入居者らには医療やセラピーの他、1日3食の食事も支給されると説明する。最長で3か月間滞在できるが、タイニーホームを出た後に落ち着いて住める場所が見つかるまでは更新可能だ。

 タイニーホームが一部の人にとっては「非常にポジティブなステップ」となりうると話すのは、社会問題に取り組む非営利団体「ドリームビルダーズ・プロジェクト(Dream Builders Project)」の創設者メイヤー・ダハン(Mayer Dahan)氏だ。ただその一方で、「根本的な問題への対応ではなく、症状に対処することで解決策が見つけられるとする考え方」には懸念を示す。

 法務サービスを提供する「ロサンゼルス法律扶助財団(Legal Aid Foundation of Los Angeles)」で上席弁護士を務めるシェイラ・マイヤー(Shayla Myers)氏も、「ホームレス問題は、その根本にある貧困と富の不平等、そして低所得者向け住宅の不足に取り組まなければ解決できない」と指摘している。(c)AFP/Ines BEL AIBA