【7月18日 AFP】第74回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)の授賞式が17日に行われ、フランスのジュリア・デュクルノー(Julie Ducournau)監督が手掛けた『Titane(チタン)』がコンペティション部門最高賞の「パルムドール(Palme d'Or)」に選ばれた。審査員長を務めるスパイク・リー(Spike Lee)監督が、フライングでパルムドールを発表してしまうハプニングもあった。

 女性監督のパルムドール受賞は、1993年に『ピアノ・レッスン(The Piano)』で受賞したジェーン・カンピオン(Jane Campion)監督以来2人目。

 リー監督は『Titane』について、「キャデラック(Cadillac)が女性を妊娠させた史上初の映画だ。心を揺さぶられた」と述べた。「天才と狂気が一緒になっている」

『Titane』は、車とセックスし、平気で殺人を犯す女性の物語で、残酷なシーンもあり、上映された際には多くの観客が目を覆っていた。

 黒人初のカンヌ審査員長を務めたリー監督は授賞式の冒頭で、最初の賞の男優賞を発表するはずが、パルムドールを発表してしまった。実際にパルムドールを発表する段になると、「間違えたことを謝罪する」と述べた。

 しかし、今度はプレゼンターのシャロン・ストーン(Sharon Stone)を紹介するはずが、受賞者の発表を始めてしまい、またもや失敗しそうになった。

 デュクルノー監督も会場で笑っていたが、正式にパルムドールが発表されると涙を流し、「今夜は不完全だったからこそ完璧だった」と述べた。「モンスターを受け入れてくれてありがとう」

 2位に当たるグランプリ(Grand Prix)は、2度のアカデミー賞(Academy Awards)受賞歴を持つイランのアスガー・ファルハディ(Asghar Farhadi)監督の『A Hero』と、フィンランドのユホ・クオスマネン(Juho Kuosmanen)監督の『Compartment No.6』が同時受賞した。

 脚本賞は、『ドライブ・マイ・カー(Drive My Car)』の濱口竜介(Ryusuke Hamaguchi)監督と大江崇允(Takamasa Oe)氏が受賞した。

 監督賞は、『Annette』のレオス・カラックス(Leos Carax)監督、女優賞は、『Worst Person in the World』のノルウェーのレナーテ・レインスヴェ(Renate Reinsve)、男優賞は『Nitram』のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(Caleb Landry Jones)がそれぞれ受賞した。(c)AFP/Eric RANDOLPH