【6月12日 AFP】英ミュージシャンのエルトン・ジョン(Elton John)さん(74)は10日、英政府が欧州連合(EU)から離脱する際にミュージシャンのツアー時のビザ(査証)を免除する協定について合意しなかったために、同国の音楽界の若手は欧州ツアーで鍛えられる機会を逸してしまうと自身のインスタグラム(Instagram)アカウントで警鐘を鳴らした。

 今年初めに発効した英国とEU間の貿易協定により、英国のミュージシャンは欧州内を移動する際、以前と違ってビザが必要となる。

 ジョンさんをはじめ、シンガー・ソングライターのエド・シーラン(Ed Sheeran)さんやロックバンド「ピンク・フロイド(Pink Floyd)」のロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)さんらは1月、英政府とEU側の協定内容を批判する文書に署名していた。

 ジョンさんはこのほど自身のインスタグラムで、「ビザやカルネ(車で他国に入るための通行許可証)、さまざまな許可証にかかる費用」がかさむため、新進のアーティストがミュージシャンとしての力を伸ばすのに必要な欧州ツアーが簡単にはできなくなるとの意見を表明。

 英政府の対応について、「大惨事となる事態が迫っているにもかかわらず、貿易協定のこの問題点を直せない、もしくは直そうとしていない」と批判し、「解決策を探るのではなく、結局はEUのせいにしている」と記している。

 さらに、「自分が駆け出しの頃に、今の若手ミュージシャンが直面する経済的・地理的な壁にぶつかっていたら、キャリアの礎を築く機会はなかっただろうし、自分が今の立場にいたとは思えない」と続けている。

 ジョンさんは、この問題について議論を交わすため、英国のEU離脱(ブレグジット、Brexit)交渉責任者デービッド・フロスト(David Frost)氏と先月面会していたことも明らかにした。(c)AFP