【6月11日 AFP】中国の全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)は10日、外国の制裁に対抗する反外国制裁法を可決した。貿易と人権をめぐり中国への圧力を高める米国と欧州連合(EU)への対抗措置となる。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は先週、米国人の投資を禁止する中国企業のリストを拡大。中国政府はこれに対し、米国が中国企業を「抑圧」していると非難し、報復措置を示唆していた。

 全人代常務委員会が公表した文書によると、反外国制裁法に盛り込まれた対抗措置には、ビザ(査証)発給の拒否や、入国拒否、国外退去、中国企業や当局者に対する外国制裁を順守する個人・企業が所有する資産の押収・凍結などがある。制限措置は、違反者の家族にも適用される可能性がある。

 同法はまた、外国法を順守する企業を中国の裁判所が罰することを認めるほか、中国の企業や個人は外国の規制を守る必要はないと定めている。

 中国の汪文斌(Wang Wenbin)外務省報道官は記者会見で、「この法律は、国の主権の尊厳と核心的利益をしっかりと保護し、西側の覇権と権力政治に反対することを目的としている」と述べた。

 中国はかねて、米国が中国企業に対し科す制裁や貿易制限は米国法の域外適用だと批判してきた。バイデン氏はここ数か月、知的財産の盗用や、香港と新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での人権侵害の疑いをめぐり、中国に対する批判を強めている。(c)AFP