【6月10日 AFP】エリザベス英女王(Queen Elizabeth II)の肖像が、植民地支配の象徴で、多くの人に不快感を与えるとして、オックスフォード大学(University of Oxford)の大学院生らに撤去された。英政府は大学院生らを非難している。

 英国では、大英帝国と奴隷制に関連する歴史上の人物に対する抗議運動が行われており、学生が中心的な役割を果たしている。

 保守系高級朝刊紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は9日、エリザベス女王も「キャンセル・カルチャー」の犠牲者となったと記した。

 高級朝刊紙タイムズ(Times)によると、オックスフォード大学モードリン・カレッジ(Magdalen College)の大学院生らは、「一部の学生にとって、英国の君主と君主制を描いたものは、近代における植民地支配の歴史の象徴」に当たるとして、多数決をとった上で、談話室から女王の肖像を撤去した。

 ギャビン・ウィリアムソン(Gavin Williamson)教育相は8日夜、女王の肖像撤去に怒りをあらわにし、「全く理不尽」と述べた。

 ウィリアムソン氏は「女王は元首で、英国の粋の象徴だ」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 国公立の教育機関に女王の肖像を掲示する慣習はないが、ケンブリッジ大学(University of Cambridge)やオックスフォード大学の一部のカレッジには掲示されている。

 モードリン・カレッジ談話室委員会のマシュー・カッツマン(Matthew Katzman)委員長は、「談話室は、生い立ちや人種、収入、価値観を問わず、すべての人にとって中立な場所であるべきだと判断した」と説明した。

 大衆朝刊紙デーリー・メール(Daily Mail)の報道によると、オックスフォード大学のクリス・パッテン(Chris Patten)名誉総長は、「言論の自由は、知的な人でさえ攻撃的で、あきれるほど無知にする」と述べた。

 英BBCのテレビ司会者リチャード・マデリー(Richard Madeley)氏は、「女王は帝国が残したものの解体を取り仕切ってきたというのに。これに何の意味があるのか」と問い掛けた。(c)AFP