【6月5日 AFP】ネパールで3日、致死率の高いまれな真菌感染症「ムコール症」による死者が初めて確認された。隣国インドでは、新型コロナウイルス感染者のうち数千人がムコール症を発症している。

 ネパールのセティ(Seti)にある州立病院は、今月3日に65歳の男性がムコール症で死亡したと発表した。男性は、新型コロナウイルス検査では陰性だった。

 男性は側頭葉脳炎と診断され、集中治療室(ICU)で治療を受けていた。ネパール保健省の報道官はAFPに対し、同国でムコール症と診断された患者は現在、少なくとも10人に上ることを明らかにした。

 ムコール症は、極めて進行が早く、脳に広がるのを防ぐために手術で眼球の摘出や鼻、顎の切除が必要になる場合もあり、致死率は50%を超える。

 インドではこの数週間で数千人が発症しており、新型コロナウイルス感染症の治療におけるステロイドの乱用がムコール症増加につながっていると指摘する声もある。

 ネパールでは4月初旬以降、新型コロナウイルスの新規感染者数が急増しており、ピーク時の5月中旬には1日当たり9000人を超えた。新規感染者数は減少傾向にあるが、医療体制は依然として逼迫(ひっぱく)している。同国の新型コロナウイルスによる死者は7000人を超えている。(c)AFP