【5月29日 東方新報】14億人の人口を擁する中国で「お一人様経済」が活発になっている。1人暮らしの人口は2018年で7700万人に上り、今年は1億人に近づくと予想され、1人暮らしをターゲットにした商品が増えている。

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 1人用の炊飯器、ミニ冷蔵庫、ドラム式のミニ洗濯機、ロボット掃除機、小型ミキサー…。インターネットのEC(電子商取引)プラットホームで「一人飯」というキーワードを入力すると、1人暮らし向けのキッチン・生活用品が次々と現れる。

 中国の家電メーカーは「お一人様」向け商品を開発しており、売れ行きも軒並み増えている。若者がインターネットで便利な品物を何でも買いそろえる風潮は「懶人経済(怠け者経済)」といわれたが、今やそれが主流となりつつある。

 商品がコンパクトでも安いわけではない。あるネットサイトでは、海爾(ハイアール、Haier)のドラム式ミニ洗濯機の価格は3299元(約5万5982円)で、通常の洗濯機と大差ない。ミニ炊飯器など他の製品も同様の傾向だ。

 メーカー関係者は「1人用に特化して製品を設計し、部品を小さくし、デザインも魅力的に工夫しているので、値段が下がるわけではない」と説明する。実際のところは、毎月の給料を買い物で使いきってしまう独身の若者「月光族」(光は「何も残らない」というニュアンス)が多いため、強気の価格設定をしていると言える。

 このほか、若い独身女性を中心にペットを飼う人が爆発的に増え、小型スマートスピーカーも売り上げが急増するなど、「お一人様産業」は1兆元(約16兆9694億円)に達する勢いだ。

 1人暮らしとは限らないが、「銀髪経済」と言われる高齢者向けの市場も拡大している。中国では高齢化が進み、子どもと離れて暮らす「空き巣家庭」といわれる高齢者も増加している。シニア向けの栄養・健康食品、観光旅行、在宅医療機器、年金・保険などのサービスが増えている。

 中国ではつい最近まで、家族が一緒に暮らし、子どもが老後の親の面倒を見るのが常識だった。急激な経済成長とともにライフスタイルも激変しており、「お一人様経済」や「銀髪経済」はその象徴となっている。(c)東方新報/AFPBB News