【5月25日 AFP】米国東部で17年ぶりにセミが大発生している。首都ワシントンで持続可能な食品運動を提唱しているあるシェフは、これを絶好の機会と捉え、屋外での調理と食事のイベントを企画した。

 香港生まれの米国人シェフ、バン・ライ(Bun Lai)さんは、地域住民らを公園でのセミ捕りに誘い、揚げたセミで巻きずしを作って振る舞った。

 メリーランド州、ペンシルベニア州、バージニア州、インディアナ州、テネシー州などでは今、「ブルードX(Brood X)」と呼ばれる17年周期で現れるセミが大量発生している。

 バンさんは、「史上最大のパンデミック(世界的な大流行)に見舞われている今の世の中で…新型コロナウイルス感染症のことではなく、食に関係する問題のことだが、私たちは自分の食習慣に対して革新的な取り組みを行っていく必要がある」と話す。

 自身のインスタグラム(Instagram)とツイッター(Twitter)で、セミを捕まえて調理し、無料で振る舞うと告知したバンさん。「一緒に料理する食材を持ってきてください。私と一緒にいろいろやってみてもいいですし、食べるだけでもいいです!」と呼び掛けた。

 23日、呼び掛けに応じて集まった人々の料理の冒険は、おいしそうなセミを集めることから始まった。

 ステラ・ロケ(Stella Roque)さん(36)は、子どもの頃からの虫嫌いを克服できるのではないかと考えて参加した。「調理したセミを食べてみないかという誘いに、面白い体験ができそうだと思った」と話す。

 ちまたでセミ料理に挑戦しているのはロケさんだけではない。米誌ワシントニアン(Washingtonian)によると、レストランでは今、セミ入りタコスが人気メニューだという。

 一方、バンさんはセミを「グルメの食材」扱いすることに注意を促し、「人間の好んで食べるようになった多くの種がそうだったように、やがて食べ尽くされてしまう」可能性もあると話す。

 参加者らはバンさんの指導の下、公園内でセミを捕まえ、食べられる植物を探した。瓶に入れられたセミは新鮮な食材と並べて炭火のそばに置かれた。

 塩で味付けされたセミはフライパンで揚げられ、大きな葉、持ち寄った野菜、ごはんなどと一緒に巻かれて巻きずしとなり、参加者らに振る舞われた。

 最悪の事態を予想していたロケさんは、「うれしい驚き」を味わったと感想を語った。

「手に持っている時は、ぞわっとした」と言いいつつも、「だけど…ものすごくおいしかった」と笑顔で話した。(c)AFP