【4月30日 AFP】韓国の脱北者団体「自由北韓運動連合(FFNK)」は30日、北朝鮮の体制や金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-un)朝鮮労働党総書記を批判するビラを、今週2回にわたって北朝鮮側に飛ばしたと発表した。韓国で北朝鮮批判ビラの散布禁止法が施行されて以降、散布決行は初めて。

 FFNKの朴相学(Park Sang-hak)代表によると、「4月25日から29日の間に非武装地帯(DMZ)付近から2回に分け、ビラ50万枚、小冊子500冊、紙幣5000ドル分を計10個の大型風船で飛ばした」という。

 韓国の団体は以前から、北朝鮮による人権侵害や核開発を批判するビラを風船でDMZの向こう側に飛ばしたり、川に流したりして散布してきた。ビラの内容に激怒した北朝鮮は昨年、韓国側を繰り返し激しく非難して対応を求め、開城(Kaesong)にある南北共同連絡事務所を爆破するなど高圧的な態度に出た。

 韓国国会は昨年12月、ビラやUSBメモリーの散布を違法化する法案を迅速に可決。散布した者に最高で懲役3年または罰金3000万ウォン(約290万円)を科す内容で、「言論の自由」をめぐる懸念が指摘されている。

 韓国の同盟国である米国は先月、ビラ禁止法を「重大な人権問題」とする年次報告書をまとめた。また、FFNKの朴代表は「体制によって人権が奪われている」北朝鮮の人々にも「真実を知る権利はある」と主張し、ビラ禁止法は「かん口令」であり「最悪の法律」だと批判していた。(c)AFP