【4月20日 AFP】スイスの雪に覆われた山道に架かる橋で19日、チューリヒ伝統の春祭り「セクセロイテン(Sechselaeuten)」の儀式が行われ、まきの上にせられた雪だるま形の巨大な人形が爆破された。

 この雪だるまの人形は「ベーグ(Boeoegg)」と呼ばれ、火が付いてから短時間で吹き飛べば「素晴らしい夏」が訪れる吉兆とされる。

 セクセロイテンは昨年、新型コロナウイルス流行の影響で中止された。ベーグを燃やす儀式は祭りのヤマ場であり、通常はチューリヒ市中心部で行われるが、今年もコロナ関連の規制でそれはかなわなかった。

 代わりにチューリヒから南に100キロ離れた山中へ人形は運ばれ、シェレネン(Schoellenen)峡谷の「悪魔の橋(Devil's Bridge)」に設置された。悪魔の橋は、1799年にナポレオン戦争(Napoleonic Wars)でフランス軍とロシア軍の戦いが起きたことで有名だ。

 冬の悪魔を象徴するベーグは通常ほうきを持っているが、今年は橋の名にちなんでピッチフォーク(三つまたの熊手)を持たされた。

 薪に点火してから、花火が詰まったベーグの頭が吹き飛ぶまでにかかる時間で、どんな夏になるかを占うのが伝統だ。今年は比較的早く12分57秒だった。歴代最短記録は熱波のさなかに行われた2003年の5分42秒だった。

 映像は19日撮影。(c)AFP