【4月18日 CNS】「貧困脱却」「住宅価格」「優雅な貧乏」…。中国の復旦発展研究所(Fudan Development Institute)コミュニケーション・国家治理研究センターの李良栄(Li Liangrong)教授のチームが最近発表した「インターネット社会心理調査リポート2020」で、市民の関心事や心理が浮き彫りになった。

 研究チームは2020年にネットユーザーが注目した社会問題を「金融リスク」「貧困脱却」「環境保護」「住宅価格」「戸籍」「医療」「食品安全」「就職」「教育」「老後」「インフレ」「外国投資・貿易」の12テーマに分類。中国最大の検索エンジン「百度(Baidu)」の検索データや、中国版ツイッター「微博(ウェイボー、Weibo)」からランダムに選んだ6250万件のデータに基づいて傾向を分析した。

 関心が最も高かったのは「貧困脱却」。2020年は中国政府が「貧困地域をゼロにする」と目標を立てた最終年で、習近平(Xi Jinping)国家主席が昨年12月に「現行基準下で貧困県がなくなり、絶対的貧困が解消した」と宣言し、注目を集めた。

「住宅価格」への関心も高く、キーワードを検索したうち男性が73.3%を占めた。中国では結婚する前に男性がマイホームを購入することが求められ、大きな負担となっている。年代別では、結婚適齢期を迎えている1990年代生まれの検索が最も多かった。

「金融リスク」も大きな話題となっている。リポートでは、若者の間で「優雅な貧乏」というライフスタイルが広がっていると指摘。収入が少なくても消費者ローン「花唄(Huabei)」「借唄(Jiebei)」で金を借りて好きなものを買い、生活が貧しくなっても幸福と思う人々を指す。

 世代別の傾向を見ると、1980年代と90年代生まれは「老後」への関心も高い。1人っ子世代で両親や祖父母の世話を考える必要があるためだ。また、中国の人口が今後減少していくため、自分自身の老後についても考慮しているという。

 また、「就職」についての検索が、1990年代と2000年代生まれが多い。コロナ禍により就職市場が打撃を受けており、現在の暮らしや将来の生活に不安や焦りを感じているようだ。(c)CNS-澎湃新聞/JCM/AFPBB News