【4月15日 AFP】フィギュアスケート男子シングルで五輪2連覇を達成した羽生結弦(Yuzuru Hanyu)は、今週開催される世界国別対抗戦(ISU World Team Trophy in Figure Skating 2021)で、新型コロナウイルスの感染者数が増加している開催地の大阪を勇気づけたいと考えている。

 2年に1度行われるシーズン最終戦で日本をけん引する羽生は、先月の世界選手権(ISU World Figure Skating Championships 2021)で優勝したネイサン・チェン(Nathan Chen、米国)に再び挑むことになる。

 しかし今大会は、流行の範囲が広がっているという懸念がある中で公道での五輪聖火リレーが中止となるなど、感染者数が増えている大阪で行われる。

 ぜんそくの持病がある羽生は、感染した場合のリスクが高いことを考慮して今季のグランプリ(GP)シリーズを欠場した。

 昨年12月に復帰した際は「葛藤」があったと認めた羽生だが、14日にはより前向きな姿勢を示し、ファンを勇気づけると約束した。

 オンラインでの記者会見に臨んだ羽生は「大阪っていう地が大変なことになっているのは僕も重々分かっています」と述べた。

「ここに演技を残していって、誰かの何かしらの希望だったり心に残る瞬間だったり、1秒に満たなくてもいいので誰かの中に残る演技をすべきだなって思ってここにいます」

 3日間の大会には日本、米国、ロシア連盟、カナダ、イタリア、フランスの6チームが参加し、男女シングル、ペア、アイスダンスの4種目が行われる。当初は中国が参加する予定だったが、同国の辞退を受けてフランスの出場が決まった。

 羽生とチェンの戦いは、開幕まで10か月を切った2022年の北京冬季五輪までに何度かある興味深い対決のうちの一つにすぎない。それでも、チェンが世界選手権で五輪王者の羽生を3位に追いやったことで、両者のライバル関係が最も注目を集めることになりそうだ。

 公式練習を終えた羽生は「足が若干フワフワしているところがあったと思いますが、それを踏まえて良い調整ができたと思います」とした上で、「まずはチームに貢献するためにも演技に集中して、普通の試合以上に自分を律したい。ショートに関しては、この世の中でも楽しめるプログラムになっていると思います」と続けた。(c)AFP