【4月13日 AFP】(写真追加)南太平洋の島国バヌアツに、英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の夫フィリップ殿下(Prince Philip)を信仰してきた村々がある。殿下の死去を受けて村長らは12日、女王に対し、殿下の魂は生き続けるとの弔辞を送った。

 深い緑に覆われた火山島、タナ(Tanna)島のヤオーナネン(Yaohnanen)村とヤケル(Yakel)村の住民は数十年前から、先週99歳で死去したフィリップ殿下を崇拝してきた。

 フィリップ殿下信仰が始まったのは、女王夫妻が1974年にバヌアツを公式訪問した後の、70年代後半とされる。

 この現象について調査した英関係者らは、白い肌の精霊の息子が帰還するという現地の古い伝説に根差していると結論付けている。

 ギリシャ生まれのフィリップ殿下が英仏米いずれの国の出身でもないことを知った人々は、ならばタナ島の出身であるはずだと考えた可能性があるという。島を離れ、世界で最も大きな力のある女性と結婚した殿下が、いつの日か帰還し豊漁をもたらすと信じていた。

 人類学者らはこの信仰について、村民が外界との精神的つながりを構築する一つのすべとみている。

 ヤケル村の信者らは、殿下亡き今、誰が新たな心のよりどころとなってくれるのかは、まだ分からないと話している。

 村外では、フィリップ殿下の長男チャールズ皇太子(Prince Charles)や、孫のウィリアム王子(Prince William)、ヘンリー王子(Prince Harry)が次の信仰対象になるだろうとの見方が強い一方で、ヤケル村の村長は何も決まっていないとしている。

 村長はAFPに対し、「フィリップ殿下の魂は肉体を離れたが生き続ける──魂がどこに住まうのか、断定するのは時期尚早だ」と語った。(c)AFP/Dan McGarry