【4月8日 AFP】東京五輪を目指すアジア系米国人アスリートが7日、自らが経験した人種差別被害を告白し、自分たちの持つプラットフォームを生かしてアジア系差別への関心を高めたいと話した。

 ここ1年、米国ではアジア系を標的とするヘイトクライム(憎悪犯罪)が急増しており、活動家らはドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と繰り返し呼んだことが、その一因だと指摘している。

 数日前には2018年平昌冬季五輪のスノーボードで金メダルを獲得したクロエ・キム(Chloe Kim)が、毎日のようにソーシャルメディアで人種差別的な嫌がらせを受けていると告白した中で、この日は米代表チームのメディアイベントに臨んだ体操男子のユル・モルダウアー(Yul Moldauer)と空手女子のサクラ・コクマイ(Sakura Kokumai)が、最近経験したアジア系差別を打ち明けた。

 日本にルーツを持つコクマイは、先週公園でトレーニングをしていた際に男性から言葉による嫌がらせを受けたと明かし、「ショックを受けた。そのときは状況をのみ込もうとして、事態をエスカレートしても仕方がないから笑い飛ばした」と声をつまらせながら話した。「最後に人種差別的な暴言を受けた。そのことに関しては今でもまだ少し感情的になる」

 また、自身の経験と全米で話題になっているアジア系への暴力行為は比較にならないとしつつ、「人々は殴られ、切りつけられ、殺されている」とした上で、「私たちはターゲットで、暴力や嫌がらせは現実」と述べた。

「誰にでも起こり得るということを広めたい。お互いのために存在し、お互いを守らなければならない」

 韓国生まれのモルダウアーも、自身の知名度を生かして米国における反アジア系暴力への関心を集めたいとしている。「絶対に自分の立場を使うつもりだ。それが自分だし、なりたい自分」というモルダウアーは、「誰かの謝罪や同情を得ようとしているのではない。とにかく認識を広めたい」と語った。(c)AFP