【4月8日 東方新報】いわゆる「新疆の人権問題」は最近、西側諸国による「中国たたき」の新たな焦点になった。この影響を受けて、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)生産の綿が巻き込まれている。

 発端は、ドイツの学者アドリアン・ゼンズ(Adrian Zenz、中国名:鄭国恩)氏が「中国は新疆の少数民族の労働者数十万人を強制労働させ、綿の手摘みをさせている」と主張する報告書を発表したことだ。欧米のメディアが同報告書を引用して大きく報道、一部の欧米の政治家は「中国を制裁しよう」と主張した。その後、本部はスイスにあるB C I(Better Cotton Initiative)や多数の国際的な有名企業が、新疆綿の使用を拒否する意向を表明した。この動きに対し、中国は「欧米諸国が中国弾圧のためにうそを捏造(ねつぞう)した」と反撃に出た。

 なぜ西側諸国は「新疆の人権問題」を理由に中国を制裁するか、なぜ新疆綿から着手したのか?

 新疆の自然環境はほかの地域と比べて特徴があり、昼と夜の温度差が大きく、日照時間が長く、綿の成長に適している。また、降水が少なく、繊維が降雨の影響を受けること少ないため、生産された綿は白く光沢もある。山から流れる雪解け水を利用して、綿花畑をかんがいすることができる。また、新疆の綿花畑では害虫駆除の技術が確立されており、害虫が繁殖しにくい生態環境になっている。そのため、新疆綿の品質は非常に高く、洋服などを作るのに非常に適しており、世界的にも高い評価を受けている。

 新疆の綿生産量は、2020年には516.1万トンに達し、中国の綿総生産量の87.3%を占める。新疆綿は、生産量、収量、作付面積、商品調達量のいずれにおいても中国で26年連続トップであり、世界の重要な綿生産地にもなっている。

 新疆での大規模な綿生産はどうように行われているのか、「少数民族の労働者を強制労働させ、手摘みをさせている」という問題は存在しているのか。

 中国政府の統計データによると、新疆綿の機械摘み取り率は69.83%に達し、その中、北疆地域はさらに高く、95%に達している。新疆では、綿摘みは地元の人々にとって収入源であり、他の省から新疆に出稼ぎに来る人も少なくない。新疆の地方政府関係者によると、新疆の綿摘み労働者と綿の栽培者は、対等かつ自主的に労働契約を結んでいる。一般的には、50日に近い綿摘みシーズンに、労働者は一人1万元(約16万8000円)以上の収入を得ることができると言われている。

 綿栽培は新疆経済の柱となる産業であり、欧米は制裁を通じて新疆を世界の綿供給網から外し、その経済を弱体化させることで、新疆を混乱させて中国に圧力をかける機会を得ようとしている。しかし、このような制裁は中国にダメージを与えられるのか。

 中国は世界最大の綿の消費国、第2位の綿の生産国だ。中国の2020年度の綿生産量は約595万トン、総需要は約780万トンで、年間約185万トン不足している。国内需要を満たすために、中国は年間約200万トンの綿花を輸入する必要がある。近年、積極的に輸入ルートを拡大し、ブラジルやインドなどの主要綿生産国との協力関係を強化し、国内の綿花の需要安定化を図っている。

 このため、中国の世論は、西側諸国による制裁の効果は限定的であると結論づけている。世界の高級綿の生産量は限られているため、新疆綿の不買運動は、世界の産業チェーンの混乱や農産物価格の異常変動を招き、市場の健全的発展だけではなく、欧米企業自身の不利益につながる可能性もある。

 特に欧米の多国籍企業にとっては、消費市場としての中国の重要性は計り知れないものがある。欧米の国々や企業が新疆綿を制裁した後は、中国の消費者も関係する欧米企業をボイコットする可能性がある。この騒動で誰がより多くの損失をかぶるかは、まだわからない。(c)東方新報/AFPBB News